普段常備しているものに綿棒があります。
あなたもいろいろなシーンで綿棒を使っていませんか?
綿棒は、今では種類も多いようで、木や紙、またはプラスチックの棒の先端に脱脂綿を巻き付けたもののことですが、その形状もさまざまで、用途によって工夫されたものもあります。
綿棒って、安くて便利で用途も幅広いのですが、ふと、誰が作ってここまで広まったのかなんていうのが気になりました。
綿棒の歴史なんて知りたくないですか?(^^)ちょっと調べてみました。
綿棒の歴史
綿棒が生まれたのは1923年のアメリカ。
Leo Gerstenzang が、妻が脱脂綿を爪楊枝に巻き付けているのを見て発明・商品化したのが始まりです。
当時は Baby Gays と名付けたけど1926年には Q-tips Baby Gays と改名されました。
その後 Baby Gays が名称から外され「Q-tips」となったということです。
アメリカとカナダでは綿棒の代表的なブランドで、綿棒の代名詞ともなっています。
Q とは quality を指すそうですよ。
日本に綿棒が入ってきたのは第二次世界大戦終戦後で、進駐軍の放出品として市場に出回るようになりました。
当時の綿棒は、軸が木製で、その材質が爪楊枝と同じシラカバで、製法も似ていたことから、爪楊枝の産地であった現在の岐阜県高山市で国産化されました。
日本国内における最も古い工業所有権は、実用新案権として1960年8月31日に出願がされています。
日本で初めて綿棒を製造販売したのは衛生用品製造業の平和エーザイ(現:平和メディク)で、1965年のこと。
現在、日本の綿棒のシェアのうち4割を担っているそうです。
年間製造本数は、全体でおよそ60億本。すごいですね。
私たちが普段使っている紙軸の綿棒を開発したのは上記 Q-tips の会社で1958年のことです。
綿棒の種類
綿棒は用途によって、「一般用」「医療用」「工業用」に分類されます。
・一般用綿棒
耳掃除や赤ちゃんのケアなど、主に一般家庭で使用されるもの。雑貨品に分類されます。
薬局やスーパー、コンビニエンスストアなどで売っています。
近年は抗菌や滅菌済み製品が増えていて、化粧用綿棒も一般用に含まれます。
耳掃除用のものを中心に、衛生用品は白が基調との既成概念に反する黒い綿棒も発売されています。
・医療用綿棒
医療現場で使われる綿棒。
患者の耳や鼻の清掃のほか、病原体や微生物の採取、患部の消毒などに使用されます。
外科、内科、小児科、耳鼻科など、各科の用途に合わせたさまざまな形状のものがあります。
・工業用綿棒
主に精密電子機器や電子部品、基板、光学機器などの清掃に使われています。
狭い場所での利用に便利なように軸が長く綿体部分が小さいのが特徴です。
静電気を防ぐため、防止剤を含浸したタイプなどもあります。
今度探してみよう(^^)
・その他の綿棒
綿棒とは言いがたいと前置きがついていますが(^^;、
綿棒の綿球部分に粘着剤を備え、耳垢を貼り付けて耳掃除を行おうという商品もあります。
綿球の代わりにスポンジを用いたものもあり、これも便宜的にスポンジめん棒などと呼ばれ、クリーンルームでの細かい作業などに用いられます(綿の字は用いないことがあるそうです)
これは綿球から繊維が外れて飛散することを避ける意味があるそうです。
綿棒でも綿を使ってないから「めん」と・・・こんなとこに拘りがあるんですね
綿棒の抗菌
日本衛生材料工業連合会では、綿棒は、綿球表面の開封までの抗菌性能を保証していて、細菌を全く増殖させないことが基準となっています。
・医療用綿棒と一部の一般用綿棒には滅菌処理が施されています。
滅菌方法には「EOG滅菌」と「電子線滅菌」が用いられます。
・EOG滅菌
EOG(エチレンオキサイドガス)を用いるため、製品梱包後の滅菌が可能です。
ただし、近年は廃ガスの大気放出が問題となっているので、廃ガス処理施設の併設を義務づける自治体もあります。
・電子線滅菌
EB滅菌とも呼ばれるもので、熱電子の放出により微生物を滅菌する方法です。
わずか数秒で滅菌が完了するため、圧倒的な高速処理が可能となります。
サイズと形
アメリカから綿棒が入ってきた名残から綿棒の全長はインチで表されます。
一般雑貨として市場に出回る綿棒の全長は、約7.6cmです。
軸の両側に固い綿球がついています。
3インチ綿棒または3インチ紙軸綿棒と呼ばれることがあります。
また、病院での処置や検査などに使用する柄部分の長い綿棒は、全長約15cm。
6インチ綿棒と呼ばれることがあります。
薬品の塗布や化学実験・生物学実験などのに用いられたり、機械装置などの細部の清掃に用いられるため、綿球は片側のみに付いていることが多いです。
また、長い軸がたわみにくいよう、木の軸でつくられていることが多いようです。
特殊なものとして、オリーブオイルなどの油を染み込ませたものや、精製水や香料を含ませた水を染み込ませたもの、機械の清掃向けとして静電気を起こしにくい薬剤が染み込ませてあるものなどもあります。
近年はインフルエンザ検査用の綿棒や感染症の検体採取用綿棒など市販の綿棒以外でも幅広い種類が商品化されています。
軸は直径2ミリ程度の細い棒状で、材質は木、紙、プラスチックが用いられています。
先端の脱脂綿は1 ~ 1.5㎝で綿球状に固く巻き付けられていますが、多用途化に対応して形もいろいろあります。
丸いもの(水滴型)、先端がとがったもの、太いもの(ゆるく球状に巻きつけたもの)、絞り加工により段々を付けたものなどがあります。
一般的な丸いものでも、ベビー用として軸も先端の綿球も細くなっているものもあります。
綿球部は脱脂綿の素材が多いのですが、医療機器として鼻腔からのインフルエンザウイルスなど病原体採取に用いられる場合や、微生物の採取に用いられる場合にはレーヨンの綿を使用する場合もあります。
他にも特殊用途として合成繊維などを綿球部に使用する場合もあります。
(業界ではコットンスワブ、またはコットンスワッブ)
・綿棒の疑問あれこれ
・綿棒の使用期間は?
綿棒に使われている脱脂綿は化学変化が小さいので、日数が経過しても問題なく使用できます。
ただし、湿気や直射日光にさらされると変色する場合があります。
・軸から綿体が外れたりしないの?
綿棒の製造では、綿の繊維を一旦ほどいてから軸に巻き付けて接着剤によって結合しているので、通常の使用で外れることはありません。
・綿体の接着に使われる接着剤は人体に害はない?
日本衛生材料工業連合会では「綿棒の安全衛生自主基準」内で、接着剤の成分の規定があります。
ポリビニルアルコール、酢酸ビニル樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロースナトリウムのいずれかと水からなる接着剤を使用するようなっています。
これらは化粧品や食品にも使用されている合成樹脂や植物繊維なので、いずれも人体への影響の少ない成分です。
・ベビー用綿棒と大人ではどう違うの?
綿経のサイズが違います。
家庭用の一般的な綿棒は5mm程度ですが、ベビー用は赤ちゃんの小さな耳や鼻に合わせて綿経が3mm程度となっています。
綿棒 最後に
たかが綿棒されど綿棒。
あの小さなものを作るのにも行程がいくつもあり、滅菌や使用用途によって工夫がされているんですね。
なかなか深いです(^^)次はさまざまな用途について詳しくまとめたいと思います。