春の七草は七草粥とセットでなんとなく知っている人も多いかと思います。
最近では、秋の七草も身近で話に出ることも増えてきました。
でも、その七種についてもよくわからない、由来は?と疑問がわいてきます。
そこで春の七草の七種とは?秋の七種とは?といったことを少し調べてみました。
春の七草秋の七草それぞれの七種
春の七草には
せり(芹)・なずな(薺-ペンペン草)・ごぎょう(御形 母子草)・はこべら(繁縷)・ほとけのざ(小鬼田平子)・すずな(蕪)・すずしろ(蘿蔔-大根)があります。
この七種の野草を正月7日に摘んで刻み、おかゆに焚いて食べる風習があります。
※春の七草のホトケノザはキク科のコオニタビラコのことです。
紫のホトケノザはシソ科で、本州、四国、九州、沖縄に分布し、花期は3~6月になります。
春の七草は節句の行事として、七草粥を食べるという風習ですが、同じ七草でも秋の七草は節句とは関係なく、風習として七草を鑑賞して楽しむという意味があります。
秋の七草は
山上憶良の歌の七種から
はぎ(萩)・おばな(尾花-ススキ)・くず(葛)・なでしこ(撫子)・おみなえし(女郎花)・ふじばかま(藤袴)・ききょう(桔梗)となります。
尾花と朝顔以外の呼び名は今も変わらないようです。
春の七草の意味と由来
春の七草は平安初期お粥として食べたのが始まりといわれています。
1月7日に七種の野菜を刻んでいれた粥(七草がゆ)を食べることで、邪気を払い万病を除く占いとして食べられたようです。
おせち料理で疲れた胃を休め、野菜が乏しい冬場に不足しがちな栄養素を補うという意味もありました。
七種の野菜は、前日の夜にまな板に乗せて囃し歌を歌いながら包丁で叩き、当日の朝にお粥に入れます。
古来日本では年初に雪の間から芽を出した草を摘む「若菜摘み」という風習があり、七草の原点とされています。
日本には暦における、伝統的な年中行事を季節の節目に行う節句(せっく)があります。
江戸時代に幕府が公的な行事・祝日として定めた5節句があり、七草もその内のひとつです。
1月7日は人日(じんじつ) 七草の節句
3月3日は上巳(じょうし) 桃の節句
5月5日は端午(たんご) 菖蒲の節句
7月7日は七夕(しちせき) 七夕
9月9日は重陽(ちょうよう) 菊の節句
七草粥を食べる人日の節句は公的に定められた日で七草粥は日本の行事食というわけなんですね
・御伽草子の七草草紙の説話
唐の楚国の大しうという親孝行者が、年老いた両親を見て嘆き悲しみ、山に入って21日間もの苦行を行い祈願したという。
「私に老いを移してもいいのでどうか両親を若返らせてください」
「そなたの願いを聞き入れた。須弥山の南に齢8000年の白鵞鳥がいるが、この秘術をぬしら親子に授ける。」と天上の帝釈天からお告げがあった。
毎年春のはじめに七種の草を食べること。
“1月6日までに7種類の草の集めておくこと。
次の時刻に柳で作った器に種を載せ、玉椿の枝で叩くこと。
・酉の刻から芹
・戌の刻から薺
・亥の刻から御形
・子の刻から田平子
・丑の刻から仏座
・寅の刻から菘
・卯の刻から清白
・辰の刻からこれらの種を合わせ、東から清水を汲んできて、これを煮て食べること。
一口で10歳、七口で70歳若返るので、ついには8000年生きることができよう。」
大しうは、この日は正月であったので、すぐに山を降りて7種類の草を集めた。
6日の夕方から教えの通り夜通し草を叩いた。
朝になり、東から汲んだ水で炊いて両親に食べさせたところ両親はたちまち若返った。
これが世に伝わり、噂を聞いた当時の帝はこの親孝行に感動して位を譲ったという。
七草の由来とともに、親孝行の功徳を説いた話だったのです。
1月7日に七草粥を食べるのは、お正月で疲れた胃を休めるためと思っていた風習も、由来や意味を知ると七草粥もまた違った味わいがありますね。
秋の七草の由来
春の七草と違い、食用ではなく観賞用としての七草になります。
秋の七草に挙げられる植物の中には、薬草として用いられてきたものが6種もあります。
秋の七草の顔ぶれは、奈良時代の貴族・歌人である山上憶良が詠んだ2首の歌(万葉集)が由来とされています。
1首目で
秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花
と詠み
2首目で
萩の花 尾花 葛花 瞿麦(なでしこ)の花 姫部志(をみなへし) また藤袴 朝貌の花
と詠み、七種の花を示しています。
「朝貌の花」の指すのは、朝顔、木槿(むくげ)、桔梗、昼顔など諸説ありますが、桔梗とする説が最も有力です。
秋の七草は春の七草のように直接何かをするという行事はありません。
古来より花野(秋の野の花が咲き乱れる野原を「花野」という)を散策して短歌や俳句を詠むことが行われていました。
春の七草にあるような「秋の七草粥」というものもありません。食べられないわけではないようですが、食用としてあるわけではないようです。
どちらかというと薬草としての役目が大きいようです。
秋の七草は摘んだり食べたりするのではなく観賞するためだったんですね。
その他の七草
七草は春と秋だけでなく各季節にもあるようです。
昔の七草 あまり知られていないと思いますが次のようなものがありました。
いね・・・・稲 イネ科
あわ・・・・粟 イネ科
きび・・・・稷 イネ科
ひえ・・・・稗 イネ科
ごま・・・・胡麻 ゴマ科
あずき・・・小豆 マメ科
みの・・・・蓑(ムツオレグサ) イネ科
夏の七草 昭和初期に勧修寺経雄が詠んだ和歌
「涼しさは よし い おもだか ひつじぐさ はちす かわほね さぎそうの花」による夏の七草
よし・・・・葦 イネ科
い・・・・・藺 イグサ科
おもだか・・沢瀉 オモダカ科
ひつじぐさ・未草 スイレン科
はちす・・・蓮 ハス科
かわほね・・河骨 スイレン科
さぎそう・・鷺草 ラン科
夏の七草は他にもあるようです。ここでは省略。
冬の七草というのは諸説あり、明確なものはないようです。
ただ、一例として冬至の七種として「ん」が2つ付く食べ物があげられている七種があります。
これは運が倍になるという意味のようです(^^)
かぼちゃ ナンキン
れんこん レンコン
人参 ニンジン
銀杏 ギンナン
金柑 キンカン
寒天 カンテン
うどん ウンドン
七草ではないような気もしますが・・・・(^^;
でも、いろいろわかってくると面白いですね
七草 さいごに
七草については知っているようで知らないことがいっぱいありました(^^;)
春の七草と秋の七草については、それぞれ別に特徴などをかいてあります。
興味のある方はこちらもご覧ください(^^)