雛人形にはお内裏様だけの「親王飾り」の他に、いろいろな組み合わせの雛人形セットがあります。
フルセットの七段飾りでは、15人飾りとかになりますが、飾る場所の関係であまり段数を増やせない時、お内裏様だけでは寂しいという場合は三人官女のついたものが一般的です。
その官女たちは何者?で、どんな役目があるのでしょう。
気になりませんか?私はとても気になったので調べてみました(^^)
三人官女(さんにんかんじょ)とは何者?
ずばり三人官女とは、今でいう高級官僚のようなものです。
古来、宮廷では君主や后妃の日常の雑役をする女性に、何らかの官職を与えたのが始まりとされています。
男子禁制とされる後宮や后妃の私生活の管理には女性の官僚が使用されることが多かったのですね。
身のまわりの世話といっても、召使のようなものではなく、仕事ができ、教育などもできる必要があります。
三人官女の位は非常に高かったと想像できます。
そんな女性官人を「女官」と呼びました。
宮廷行事や節会には給仕などもつとめたようです。
女性が結婚すると、男性側の家に嫁ぐのが一般的でした。
お姫様の場合は幼いころから身のまわりの世話をしていた官女も一緒についてきます。
雛人形の三人官女の位置
雛人形には三人の女官がいます。
その内の1人はお歯黒、眉無しです。
これは既婚者を意味しています。
昔はこういったことで未婚者と既婚者を区別していました。
ただし、生涯独身の女官の場合には年長者という意味でお歯黒、眉無しにしていたようです。
本来は宮中に勤める女性を模していますが、官女(女官)は独身を通すのが原則でした。
しかし、平安時代から成人した貴族の女性は眉を抜きお歯黒をするのが習わしとなっていたためその形式が雛人形に取り入れられました。
つまり、女官の中のベテランという位置付けですね。
三人官女の中では真ん中に位置する、座っている官女がベテランの年長者になります
年長者と思われる真ん中の女官は盃(さかずき)を持っています。
両側に女官が2人いますが、どちらもお酒が入った器を持っています。
1人は提子(ひさげ)、もう1人は長い柄がついている銚子(ちょうし)を持っています。
3人とも雛人形のお祝いの白酒を持っているようです。
では残りの二人の女官の位置はどうなのでしょうう?
両側の女官のどちらが右でどちらが左かは、女官の「脚」で判断します。
外側の脚が前に出るよう左右の女官を立たせます。
例えば、前に出ている足が左足であれば、左足が外になるように配置するのですから、向かって右側に配置させるのが正解となります。
三人官女が座っていたら足の向きで判別できないので、その場合は白酒が注がれる順番で判断します。
白酒は、提子(ひさげ)に入っていて、それを長柄につぎ、そこから盃へ注がれます。
最初は左からですので、左の提子から右の長柄にそして杯という順番にお酒が注がれていきます。
つまり官女のもちもので位置を判断できるのです。
ひな祭りの白酒ってどんなものなんでしょう?
白酒は、雛祭りでお祝いのために出されるお酒を指します。
アルコール度数は10%前後で甘味が強いのが特徴です。
蒸したもち米にみりん、または焼酎・米麹(こうじ))を加えて、数週間後に臼で引き下ろして作られるそうです。
白酒に似たものに甘酒がありますが、甘酒は水分を多めにしてご飯やおかゆに米麹(こうじ)を混ぜて、一晩発酵させることで作られますので、別物です。
甘酒のアルコール度数は1%前後しかありません。
私は調べるまで、この白酒=甘酒と勘違いしていました(^^;
わかってよかったです。
三人官女のもちもの
何を持っているかで三人官女の配置がわかるのですが、その持物をみてみます。
組み合わせとしては一般?と京都では真ん中の官女の持ち物が違うようです
長柄(ながえ)
長い柄のある酒器で「銚子」とも言います。
盃に酒を注ぐもので長い部分を長柄(ながえ)というので「長柄」と呼んでいます。
「お銚子」といわれてイメージするものは、「徳利」(とっくり)ですね。
居酒屋などでお酒を頼むのに「お銚子1本!」なんて言いますよね(^^)
現在の生活の中のものとはだいぶイメージが違います。
島台(しまだい)/三方(さんぽう)と盃
京都では真ん中の官女は島台(しまだい)を持っています。
島台とは祝儀の飾りの置物のことをいいます。
名前の由来は入江の形状をなした島の姿に吉祥文様を配していることからそう云うようです。
一般的には三方に盃をのせたものを持っているようです。
提子(ひさげ)
提子(ひさげ)は鍋に似た形の金属製の器で、ここには白酒が入るようです。
銚子の一種でかつては宴席で酒を注ぎ勧めるのに使用されていたものですが、
室町時代以降は銚子が晴れの席に用いられるようになり、提子は銚子に酒を加えるためのものに変わりました。
高坏(たかつき)
官女の間には高坏(たかつき)を置いて、お餅などの和菓子をお供えします
高杯(たかつき)は脚台をもつ器です。
縄文、弥生時代からある形で、身分の高い人に献上するための器です。
雛道具としては、二段重ねの紅白の丸いお餅や和菓子などを載せています。
雛人形の三人官女 さいごに
お内裏様のおつきの三人官女、実は高官だったんですね。
イメージからして巫女さんを思っていましたが、すっきりしました。
五人囃子やほかの家来たちについても次回まとめてみます。
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