日本にはいろいろな風習や行事があります。
七草もそのひとつ。
春の七草とちがい秋の七草は観賞用と言われています。
その七種の特徴や見られる場所、時期などを調べてみました。
目 次
秋の七草とは 七種の特徴
秋の七草に挙げられる植物の中には、薬草として用いられてきたものが多くあります。
その効能なども知ることで、興味も深まります。
ひとつずつ特徴などをみていきます。
はぎ・萩 ― ハギ (ヤマハギ) マメ科
薬用部分・・・根 めまい、のぼせなどに効果
園芸品種も多く出回っています。
ハギは草本ではなく落葉低木。花期は7~10月。
花の頃には特に目を引きます。
枝の先の方にある小枝の葉の付け根のところから紅紫色の小花を総状花序に多数つけます。
おばな・尾花 ―ススキ イネ科
ススキは尾花ともいいます。
ススキは薬効はないようです。
夏から秋にかけて茎の先端に長さ20から30cm程度の十数本に分かれた花穂をつけます。
高さ1-2mにもなり、その葉の縁は鋭利。
野原に生息し、ごく普通に見られる多年生草本。多年草。
茎の高さは1mから1.5m。根茎は短く、茎は束になって生え大株になります。花期は秋。
くず・葛 ―クズ マメ科
薬用部分・・・根(葛根・カッコン)葛根は発汗、解熱、鎮痙薬として熱性病、感冒、首・背・肩こりに。
感冒薬の葛根湯に用いられるのがこのクズの根
花(葛花・カッカ) 眩暈や悪寒に用いられる。
花期は7月から9月。
主軸が長く伸び、それに柄のない花が並んでいるものが立ち上がり、濃紺紫色の甘い芳香を発する花を咲かせます。紅紫色の小花を総状花序に密生します。つる性木本
古くから根を用いて食材の葛粉や漢方薬が作られていました。
クズの根から作るクズ粉は良質のでんぷんで和菓子などに使われています。
葛粉を湯で溶かしたものを葛湯、熱を加えて溶かしたものは葛切りや葛餅、葛菓子(干菓子)などの和菓子材料や料理のとろみ付けに用いられています。
なでしこ・撫子 ―ナデシコ ナデシコ科
薬用部分・・・全草・種子共 消炎、利尿、通経薬として水腫、小便不利、淋疾、月経不順などに。
※流産の危険性があるため妊婦は服用不可。
花期は7月から9月。淡紅色の花をつけます。
多年草。草丈50cmから100cm程度。葉は対生し、先が尖っており、基部は茎を抱いた形になります。
母の日に送られるカーネーションもナデシコ科ですが、カーネーションは地中海沿岸が原産地で、 花期も3月から6月ころです。
おみなえし・女郎花 ―オミナエシ オミナエシ科
薬用部分・・・根 全草 鎮静、抗菌、消炎、浄血などの作用があり、腸炎などによる腹痛、下痢、肝炎、腫痛、婦人病などに用います。サポニンによる溶血作用があるため、連用は避けた方がよい
多年草。草丈60cmから100cm。根茎はやや大型で横臥します。
葉は対生し、羽状に裂けたような形状になります。 花期は8月から10月。茎の上部に黄色い小さな花を多数散房花序につけます。
オミナエシと名も姿も似た植物にオトコエシ(オミナエシ科オミナエシ属)があります。
オトコエシは白い花を咲かせ、オミナエシより大型です。
日当たりの良い山野に自生し、丈高くのびた先に小さな黄色い花をたくさんつけますが、他の七草同様日本では万葉の昔から愛されて、前栽(草木を植えた庭、または植え込みの事)切花などに用いられてきました。
漢方にも用いられ、チメグサ、敗醤(はいしょう)ともいわれます。
ふじばかま・藤袴 ―フジバカマ キク科
薬用部分・・・全草 水製エキスには血糖降下作用、利尿作用、糖尿病、浮腫、月経不順などに。
※薬草としての藤袴は有毒物質のピロリジジンアルカロイドを含有しています。使用にはリスクが伴います。
フジバカマは花には香がありませんが茎と葉を乾燥させるとよい香を放ち、中国では香草の名もあります。
多年草。河辺の土手や傾斜地に生えますが、近年は護岸工事等により生息地が減り、各地で絶滅が危惧されています。 花期は8月から9月。茎の先に淡い紅紫色の頭花を散房状に密生します。
皮膚の痒い時に乾燥したものを刻み、布袋に入れなべで煮出した後袋ごとお風呂に入れ、入浴すると良いようです。
ききょう・桔梗 ―キキョウ キキョウ科
薬用部分・・・根 鎮静、鎮痛、解毒作用のほか、抗炎症、鎮咳、血圧降下作用などが認められます。
去痰、鎮咳薬として、痰、気管支炎、咽頭痛などに用いられます。
キキョウの根はサポニンを多く含むことから生薬(桔梗根)として利用されています。
花期は8月から9月。茎の先に青紫色の鐘型花を数個つけます。
茎の上に風船のように膨らんだ蕾が開いて星型の青紫の花を咲かせます。このキキョウの花の形は、戦国時代には美濃の土岐氏の紋として使われ、後に一族の明知光秀が用いたことでも有名です。
自生株は減少しており、絶滅が危惧されています。
山野の日当たりの良い所に育つ多年性草本植物で、開花時期は六月中旬の梅雨頃から始まり、夏を通じて初秋の九月頃までです。
園芸種では白や桃色の花もあります。
多年草。草丈40cmから100cm。根は太く、黄白色。
秋の七草のみつけかた
秋の七草と言っても、それぞれに生えている場所や開花期も少しずつずれています。
自然の中でこの7種の植物をまとめて楽しむのはなかなか難しいようです。
キキョウや萩は庭などに比較的よく植えられています。
探せば、オミナエシ、フジバカマ、ナデシコなども植えられているのをみつけることができます。
また、花屋さんへ行けば、切り売り、鉢植えで売られています。
植物園では、時期によっては七草に出会えるところもあります。
お寺や庭園といったところも探しやすいかもしれません。
川があれば、土手に必ずといっていいほどクズが生えています。
フェンスなどにからみついていいるのもみかけます。
クズとススキ以外の自生は萩は山に行けば見られます。
自然が残っている場所は少なくなってきているので、自生の七草をみつけるのは段々難しくなっていますね。
秋の七草はどれも秋の花というより夏の花のように思えます。
立秋が8月初旬なので、暦の上では秋の花になるのかもしれませんが・・・
秋の七草には、派手な植物が入っていません。
まだ残暑の頃に花を咲かせ始め、もうすぐ秋ですよと、知らせてくれているようです。
秋の七草の覚え方
七草の覚え方がありますが、花の頭文字から語呂合わせするものが多いようです。
“おすきなふくは”
“おきなはすくふ”(「沖縄救う」の旧仮名遣い表記)
“ハスキーなクフ王”
などがあります。
自分なりの覚え方の語呂合わせ、考えてみませんか(^^)
また、短歌のように五・七・五・七・七のリズムで読んで覚える方法もあります。
ハギ・キキョウ / クズ・フジバカマ / オミナエシ /オバナ・ナデシコ / 秋の七草
秋の七草 さいごに
春の七草と違ってあまり七草というなじみのないものですが、身近で見かけることはあります。
これも七草の1種なんだ、と思い出しながら鑑賞するのもいいですね。
薬効のあるものもあるのでちょっと覚えておくとなにかのおりに役にたつかもしれません(^^)
七草に関する記事は次のものもご覧くださいね(^^)