少し前から脳の活性化や脳トレの話題も多くきくようになり、高齢の方でもパソコンを使って脳の活性化にチャレンジする方も増えています。
逆に若い人でも物忘れがひどいと悩んでいる人も増えているようです。
脳を活性化してなんとかしよう!と思う前に、誰にでもある物忘れと、病気の若年性健忘症というもののこと。また病気ではない忘れっぽいこととの違いを把握してから、自分にあった活性化の方法を試してみるのがよいかなと思いしらべてみました。
物忘れとは?若年性健忘症との違い
記憶力は20代をピークに加齢とともに減退するといわれています。
他の能力は経験や体験から学ぶことで20代以降も成長し、知能全体では50歳ごろまで伸び続けるそうです。
多くの人は60歳頃から記憶力や判断力・適応力などが衰え、脳の機能の老化が始まります。
老化の進行から物忘れが次第に多くなってきますが、この物忘れは加齢に伴う自然なものです。
若い世代で物忘れが激しいと悩む方がすぐに病気とは限りません。
まず、物忘れと健忘症との違いを確認してみます。
脳の老化による物忘れ
加齢による普通の物忘れとは、例えば「うっかり忘れ」などがあります。
「約束は何時だったかしら?」約束したことは覚えているけどうっかり時間をわすれてしまった。
「〇〇はどこにしまったっけ?」のようにしまった場所を忘れて探している場合などです。
記憶は、
●記銘(情報を学習し覚える)
●保持(情報を記憶として蓄える)
●再生(情報を思い出す)
の三段階からなっています。
加齢による物忘れでは再生の機能が低下することで、覚えていることを思い出すまでに時間がかかるようになります。
その為「約束したこと」や「〇〇をしまったこと」自体は覚えていて、”自分が忘れていること”の自覚はあります。
日常生活に支障はなく、認知症のような病状の進行や記憶以外の障害が見られることもありません。
例えば人の名前が思いだせない場合、ヒントをもらえば思いだせる。
大事なことをメモした場合、メモに書いた内容を忘れている。
(メモするというのは忘れた時のために書くものなので忘れても大丈夫なわけです。)
などは、加齢などによる物忘れなので心配はありません。
若年性健忘症
若いのに物忘れが多いという場合・・・若年性健忘症の可能性もあります。
20代~30代の若い人に起こる記憶障害の1つです。
若年性健忘症は、検査では脳に異常が見つからないのが特徴のようです。
人によって症状のレベルは異なります。
ちょっとした物忘れ程度の人もいれば、重度の記憶障害が起こる人もいるようです。
具体的な症状は、加齢に伴って起こる物忘れとよく似ています。
日にちや曜日などすぐ忘れてしまい、何度も確認する。
人から聞いた話をすぐに忘れたりする。
ひどい症状になってくると、誰かとの会話中に会話の意味が理解できなくなったりすることもあるといいます。
若年性健忘症が増えている主な原因は、IT化によるものと言われています。
現代は、ほとんどの人がスマートフォン・パソコン・タブレット等の端末を持っているいう世の中。
こうした機器は非常に便利なものです。
ITのせいというより、その利用の仕方にあるといえるかもしれません。
考えなくてもよい状況というのはとても楽です。
これらに頼りすぎた楽な生活をしていると、脳はだんだん働かなくなってしまいます。
忘れっぽいのは?
忘れっぽいというのは誰にもあります。
性格なのか、病気や障害の前兆なのか・・・
多くは性格の場合がありますが、なんらかの原因(ストレスなど)で集中力や注意力が低下していることもあります。
忘れっぽいの度合いにもよりますが、記憶がすっぽり抜け落ちてしまうような症状は認知症の前兆の可能性があるといえます。
また、忘れっぽいのはADHD(注意欠陥多動性障害)の可能性もあるようです
この障害は脳の機能的な原因で発達や成熟が通常よりも遅れてしまうものです。
ADHDの特徴としては忘れっぽくなる、集中力の欠如や注意散漫になったりします。
無気力になり何に関しても先延ばしにしてしまう、といった特徴もあるようです。
ADHDというのは認知症とは違って長期記憶がなくなって日常生活が1人でできなくなるといったことはありません。
が、放置すると後々苦労する可能性がありますし、障害なのに怠けていると誤解される可能性があります。
単純にこういった性格なだけで本人の努力しだいで改善できることもあります。
物忘れか若年性健忘症か?自己診断チェック
正常な物忘れ
「物忘れ外来」というのがあります。
物忘れがひどい方などが来院するんですね。
物忘れをとても心配して来院する方は、医師に「人の名前が思いだせない」「めがねの置き場をいつも忘れて大騒ぎする」など物忘れの症状を詳細に訴えます。
「アルツハイマーかもしれない」と自己診断して来院するんですね。
このように自分の物忘れ体験を切実に訴える方の多くは、物忘れで失敗した苦い体験を全て覚えていると言う事で認知症などではないですね。
集中力を欠いていたり、多くの情報が一度に押し寄せていたり、本人がパニックに陥っていたりすると、それが原因で物忘れが生じます。
約束は忘れても、誰と約束したかは覚えている、名前は忘れても顔は覚えている、何を買うのか忘れても、買い物に行ったことは覚えています。
自分はどうなんだろう?とおもったら、自己診断チェックをしてみましょう
この記事を読まれているということは、認知症ではないと思われます(物忘れの自覚がないので、検索もしないと思います)
ここでは、単なる加齢によるものやド忘れなのか、ADHDなのか・・・少し若年性健忘症の疑いがあるのか?また、アルツハイマー予備軍かも?そんな心配をしているあなたの自己診断チェックです。
自分の状態を調べてみましょう(おおまかな物忘れの度合いを知る目安としてご利用ください)
☆☆若年性健忘症 自己チェックリスト(築山節氏 作成)
□テレビやラジオに『分からない言葉』がたくさん出てくる。
□電話の内容を、正確に聞き取れないことがある。
□「あれ」「それ」などの代名詞をよく使う。
□漫画、週刊誌以外の本はほとんど読まない。
□問題解決はマニュアル通りにしかできない。
□1つのことに集中しがちで、仕事が偏る。
□電車やバスの優先席に、気にせず座る。
□地図を見ても道に迷うことがある。
□世の中の出来事、流行に無関心。
□筋道を立てて考えるのが苦手。
□予定や計画を立てるのが面倒。
□情報を勘違いすることが多い。
□同僚や友人と会話が続かない。
□待ち合わせ時間によく遅れる。
□言いたい言葉が出てこない。
□他人と一緒にいると疲れる。
□アイデアが浮かばない。
□人の意見を聞かない。
□大きな声が出ない。
□状況判断が下手。
チェックが5個以内=大丈夫
チェックが6~9個=注意が必要
チェックが10個以上=一度病院で受診を
ほかにも もしかしたら認知症かもと自分を疑っている場合(^^;
下記でもチェックができます。
☆認知症チェックリスト http://www.mental-navi.net/ninchisho/check/index.html
☆認知症自己診断テスト http://test.ninchishouyobou-k.com/
☆物忘れチェック http://www.ninchisho.jp/check/monowasure.html
チェックの結果で若年性健忘症やアルツハイマーの可能性がでたら、早めに医師の診断を受け、正しい治療をしましょう。
加齢(脳は20代でも退行していきます)による物忘れと判断したら、これ以上ひどくならないために今できることをやっていきましょう。
物忘れを脳の活性化で予防や対処を
日常生活の中でできること
・ウォーキング
歩くことで、脳の血流を活性化させ、記憶力を保つのに効果的だとされています
日頃から「頭」とともに「足」を動かす習慣を身に付けることが重要です。
ウォーキングでも、ただ歩くというより、周囲に注意を向けながら歩き、脳に刺激を与えます。
加齢で衰えていく筋力がトレーニングで維持できるのと同様に、記憶力もトレーニングで維持できる」といわれています
・ガムを噛む、固い物を時間をかけて噛む、食事はよく噛んで食べる。
噛む=咀嚼ですね。
咀嚼は脳の活性化につながると言われています。
http://www.daiwa-pharm.com/info/onko/6478/ を参照
・思い出す習慣をつける
若年性健忘症の対策として効果的です。
健忘症というのは記憶そのものが失われているものではないため、切っ掛けがあれば大抵のことは思いだすことができます。
すぐにパソコンやスマートフォンで答えを調べたり、他人に聞いたりすると脳に刺激が与えられません。
そのため、短くとも1分間は思い出すことを習慣づけ、脳を働かせるようにします。
結果的に思い出すことができなかったとしても、思い出そうとするだけで脳の機能は活性化されます。
物忘れと若年性健忘症 まとめ
・物忘れやうっかりは、必ずしも脳の衰えや、脳の怠け(頭を使わないから脳がなまる)とはかぎりません。
過大なストレスに晒され、その防御反応や脳がダメージを蒙っている可能性もあります。
また、自分一人でいろいろ背負いこんでしまい、脳が悲鳴を上げて、無意識な脳の退行現象が起こっているのかも。
思い当たることはないですか?
もしあるなら、今は脳トレより、逆に脳を休ませてあげ、自分を労わることから実行することがおすすめです。
充分休まれてから、活性化も楽しみながらやってみるといいかなと思います。
他に脳の活性化方法や脳トレについてもこちらにまとめてみました。